April 10, 2008

第20期生 修了式 <ご来賓から祝辞> NIC顧問 神谷光様(日本経済人懇話会会長)

kamiya「人生に“成功”は約束されていないけど、“成長”は約束されている!」

ただいまご紹介いただきました神谷でございます。
本日は本当におめでとうございます。
こんなに若く美しい女性の前で、こういう形で話をさせていただきますのは、最近ひさしぶりでございます。
とにかく皆さんは無事にこの1年がんばった。
そしておそらく廣田先生(NIC代表)にこの1年の間に口癖というか、「皆さんね、死ぬほどがんばってね、死ぬほど一生懸命勉強やるのよ」と、こういう話を愛のむちで叱咤激励をされたという1年だったと思うんですね。

皆さん、本当にこの1年、一生懸命がんばって、そしてこれから、いま理事長先生がおっしゃったように、近々にアメリカや英国、その他の国へ出発されていくと思うのですが、これからが本番なわけです。どういうご苦労が、あるいは不安だとか、いろいろなものがあると思います。
しかし当然、楽しみもその中にはあるけれども、どちらかというと、やはりたいへんご苦労のほうが多いのではないかなと思うんですね。日本に居るときは、本当にもうしばらくだと思いますが、向こうへ行きましたら環境は変わるのです。


しかしね、1つだけ皆さんにお話をしておきます。
それは、人生は、人生というのは「成功」というのは約束されていないんだよ。
人生の中で「成長」が約束をされているんだよ。成長することが約束されている。
自分たちが成長することだけは、これは自分の努力によって、必ず成長していく。
そして成長して成長して、大きくなっていったときに、皆さんは立派に、これからの日本を背負って立てる、そういうすばらしい人物になれると私は思うんだね。


◆変人が世の中を変えていく

お聞きいたしますと、皆さんは東大をはじめとして有名な大学を蹴ってまでも、このNICにご縁をいただいて入学されたという方が、たくさんいらっしゃるそうですね。
これはおそらく、あなたがたのお友だちだとか先輩や、またご両親から、おそらく「あなたバカじゃないのか」とか、「あなた変わってるね」とか、そういう話をされた、声を掛けられたと、私は思うんですね。

だけど世の中というのはね――皆さんがそうだとは思わないけど――変人が世の中を変えるんだよ。本当ですよ。
世の中というのは、いい意味で変人が世の中を変えていくんだ。
だから、あなたがたが、全員が全部、いわゆる日本の有名校を蹴ってこちらへ来たかどうかはちょっとわかりませんが、しかし、かなりの方々がいらっしゃるという話を、私は聞かせてもらって何を思ったかというと、今ちょっと活躍が鈍っておりますが、日本のプロ野球球団の中で、一番初めにアメリカの大リーグへ飛び込んでいったのは野茂というピッチャーですよ。

いわゆる非常におかしな投げ方をするんだね。
あの野茂選手が日本から大リーグへ移る時、日本の球団の中から「おまえは、それは契約違反だよ」とさんざん言われた。
ところが、「私はアメリカへ行きます。日本に二度と帰らない。野球の選手としては二度と絶対帰らない」と言って、本当に変わり者、変人扱いにされてアメリカへ行ったんですよ。
ところが見てください。その5年後にイチローが行ったんだよ。イチロー選手はその5年後に行った。
そして今現在16人の日本の選手が活躍しているじゃないですか。松井にしても。あの福留なんていうのは、4年間で55億円の契約をしたわけですよ。55億円ですよ? そして日本の選手の価値観をみんな変えてしまったじゃない。「お金の問題じゃないんだ」と。
そういうふうに、言葉が適正じゃないかもわからないけれども、変人と称される人間が、その先兵を、やはり切り開いていくんです。

◆小泉元首相の変わりっぷり

私は今、司会者のほうからご紹介がちょっとありましたように、前々の首相を務めました小泉純一郎さん、まあ35、36年のお付き合いをさせてもらっているんです。まあとにかく変わっていますよ。もう全然変わっているよ(笑)。もう、皆さんがおわかりにならない、想像を絶するような変わり方なのよ。自分が言っているんだから間違いないんだ(笑)。

だけど見てくださいよ。5年と4カ月間の間、内閣総理大臣を務めたのが、この近年ほかにだれがいますか?中曽根さんからずっと二十何年間、1人もいなかったじゃないですか。それは、変わっていたからできたんだよ。いい意味で変わらなきゃだめなの。悪い意味で変わったら、ここが(頭が)ちょっとおかしいと、こうなるわけだよ。

私は35年のお付き合いをさせてもらってね、それは何が変わっているかといったら、こんなことを言っては申し訳ないんだけど、奥様と離婚をする時はね、3番目の赤ちゃんがおなかにいたんだよね。すでにお二人のお子さんがいて、家の中にはお母さんとお姉さんがいて、横須賀の家はそんな大きな家じゃない。奥さんは小泉さんに、「あなた、子どもの教育があるから表へ出ましょうよ」と。子どもの教育があるからと、いわゆる「私たちの生活がしたいですね」と言ったとたんに、小泉先生は、それは政治家として女房として向かないと言ってね、ほんと翌日離婚しちゃったんだよ。いや、これは本当の話なんです。

そういう意味が「変わっている」という意味じゃない。だけど、すべてそういう形で、しがらみをなくして今日までずっと生きてきたんです。それは想像を絶するようなたくましさ。絶対に人の言うことなんか、絶対に聞かない。すべて自分の信念と高い志なんだよ。高い志があるかないかが、これが皆さん、これから期待されるわけよ。

◆高校時代のラグビー部での経験が生きた時

1つだけ、ちょっと私の体験を申し上げます。私は、あなたがたと同じ年代の時、横浜の高等学校のラグビー部に3年間所属した。そのラグビー部では、もうまさに、言葉では言い表せないぐらいに、とにかく厳しい練習をさせられた。合宿に入るでしょ?3日たつと、汚い話で申し訳ないけど、おしっこがね、血しか出てこない。毎日毎日血が出てくる。血が出てきてびっくりしちゃった。なぜ血が出るかといったら、肉体の疲労の極限がきたとき、人間というのは、血の小便しか出てこないというのは本当なんです。

また、われわれは和式トイレに入る時、先輩から1メートルぐらいのロープをもらうんです。そのロープの上に、頭に「こぶし」がついている。はじめは「なんだ?」と思った。そのロープを、トイレのドアのところに引っかけて、それでドアを閉めて、用が終わると、そのロープを伝わってぎゅっとやらないと、絶対に立てない。

これはその経験があったかないかで、経験のある方ならわかるけどね――おそらく経験はないわな――そういう、毎日そのロープにしがみつきながら立ち上がってくるんですよ。そうしないと、ほんとに立てない。そういうのを何日も何日もやっていた。もうそれは、言葉では言い表せないような厳しい練習だった。そして私が2年の時に、神奈川県何百校の中で優勝をしたんだ。そして、グラウンドで涙をボロボロこぼして泣いたんだ。抱き合ったんですよ。それは、その涙は何かと言ったらね、私たちはね、あの苦しみの中で戦った。その戦って勝ったというその思いがね、感動と感激を覚えたんですよ。

私は四十数歳で、ある会社にいわゆるスカウトをされたんです。一部上場企業です。そこでの経営の苦しみというのは、これはまた全然違った。そして最後に15年目に、私は副社長をやらせてもらった。千数百名の人間を、社員を背中に背負って、毎日まいにち、その企業での戦いが始まったんです。そのときにどういう思いがしたかというと、それが何十年も昔に、あのラグビーで鍛えたところの、あの精神というのが、ふっと湧いてくるんだよ。あの苦しみがあったから今の自分があるんだという、毎回まいかい、その思いがね、もう体じゅうに吹き上がってくるんだね。それは経験なの。体験なの。

◆変化の中を生き切って、日本のリーダーになれ!

だからそういう意味で、皆さんがこれからあと何日か後に、いわゆる留学先に出発されると思うんだけど、環境が変わりますよ。環境がおおいに変わるかもわからない。しかし皆さん、よくよく、これだけは頭に入れておかないかん。つい23日前に小泉元総理は同じことを神奈川県の自民党の県連でしゃべって、テレビで何回も流れていたけど、それはこういうことなんだよ。強い人間が勝利者になるということはない。だれが勝ち残るかといったら、いいですか、「変化に対応できる人間、変化の中を生き切ることができる人間が勝ち残るんだ」と。これを、同じことを2日前に小泉さんも言っていた。いやべつに真似たわけじゃないんですよ、私が。これはたいへん偉い人が言ったんですよ。

これはね、皆さん、環境が変わるんだ。環境が変わったときに寂しさも感じるだろう。寂しいことを感じたとたんに、この日本にいらっしゃるお父さん・お母さんのありがたみがわかってくるよ。それがわからなくちゃだめなんだ。お父さん・お母さんのありがたみがわからなきゃだめだ。寂しくなったらなったほど、お父さん・お母さんに対して、そこから感謝したらいいよ。苦しいんだったら、自分の友だちの顔を思い浮かべて、友情をもう1回温めるような努力をされたらいいよ。

そして、苦しんで、苦しんで、どんどん苦しめばいいよ。苦しんだその中から、本当の自分が出来上がってくる。だからさっき一番初めに言ったように、いいですか、人生に成功は約束されていないけど、成長は約束されているんだ。成長してきて、やがて4年か5年たって、日本に戻られるか、また世界に羽ばたくかわからないけれども、私は皆さん方にお願いしたいのは、この日本のリーダーにならなかったらだめなんだということです。あなたがただったら絶対になる。この日本のリーダーになるためには、高い、高い志を持って、この4年5年間、本当に一生懸命、苦労を買ってでもがんばって勉強してもらいたい。

なかなか、いま若い人間で、本当にリーダーになれる――資格じゃないんだよ、それは努力なの。そして成長なんです。そういう意味で、私は今日、ほんとに、まさかこういう形で皆さんの前に立ってごあいさつをさせてもらうとは思っていなかったんだよ、はっきり言って。だけど今日、非常に私は感動しています。こんな立派なすばらしい若い、青年男女が巣立っていく。アメリカやその他でがんばってくる。そして、がんばって4、5年たって日本へ帰ってくる。

必ず、私は、あなたがたに、20年30年たったら、日本のリーダーになってもらいたい。そういうことを心からご祈念申し上げまして、たいへんつたない体験でございましたが、心からお祝いの言葉にかえさせていただきます。本日はおめでとうございます。



Posted by ktukjp at 10:08