June 08, 2009

18期生 小口雄之さんより 〜 「真っ暗」な将来に向かい、最後まで挑戦したい

NIC18期生 小口 雄之さん(ウィスコンシン大学マディソン校 Wildlife Ecology専攻、長野県立松本深志高校出身)からの近況メッセージ

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ウィスコンシン大学マディソン校 ― 愛すべき僕の母校。世界有数の研究大学であるとともに、1933年、世界で初めて『野生動物生態学』を学問分野として教えた大学だ。
その学部創始者、Wildlife Ecologyの父として知られるAldo Leopoldの「末裔」の一人として、僕はいま野生動物生態学者を目指している。

Wildlife Ecologyとは、野生動物の科学を基礎として人間と動物の関わりに着目し、研究によって得られる理解から野生動物の保護管理を計画的に行おうとする学問である。動物との共存が大きな課題となっている世界で、その答えの一つとして重要な分野だ。体系的知識が必要で、奥が深い。
学べば学ぶほど面白く、その魅力はとてつもない!

・・・根っこはヘタレである僕だが、子供のころから動物が好きで、好きなことには熱中した。高校時にはヘタレが勝って大学受験には失敗。だが2nd chanceに恵まれ、NIC、De Anza College(CA)を経て、一年半前、Wildlife Ecologyの学部生としてウィスコンシン大学に編入することができた。ここでの成績は、GPA 3.881。

“Top-performing”
“Enthusiastic !”
“The most impressive international student I've ever seen in terms of personality”
学部長からも、このように大変ありがたい評価を頂いている。

ウィスコンシンでは「勉強」の傍ら、インターンシップやボランティアでフィールドワークをやったり、院生のセミナーに参加して野生動物医学に関するディスカッションをしたりと、生活は非常に濃い。
中でも最も力を注いでいるのが、教授や院生に付いて行っている鳥類の免疫生態学の研究だ。基礎的な研究だが、免疫機構と環境のつながりを知ることは、野生動物の健康を考える上で重要だと感じる。卒業研究も、この分野で行う予定であり、今では計画のためにアタマを悩ましている・・・。

2年後(まだそんなに学部生やるんかい!?)に控えた卒業時の目標は、Honors in Research(卒業研究プログラムの修了)とHighest Distinction(“首席”=成績で上位5%)を得ること。その後は大学院へ進学し、野生動物の研究者への夢を追い続けたいと願っている。

しかし、僕の将来を取り巻く状況は、実に厳しい。
日本では「野生動物保護管理」という概念も、その分野での「プロフェショナリズム」もあまり確立されていないために、職の需要がなく、プロの研究者になること自体が困難だ。その二つが揃っているアメリカではどうか・・・。ところが、ここでは僕は、アウトサイダーでしかない。やる気と実力のある国内生(アメリカ人)が大勢いるなか、「外国人」がwildlifeで職を得るのなんて、並大抵のことではない。どちらにおいても、野生動物生態学者を目指すというのは、とても危険な賭けだ。・・・そんななかで、「夢は分かるが、生活はどうするのか??」という意見もある。

夢を追うことに伴うコストとリスク・・・。自分の夢に対する「責任」のような感覚や、周囲からの期待は時として重圧になる。こんなにやっても駄目かもしれないという、常在する不安。成績は出して当然というプレッシャー。野生動物の知識や技術も、まだ何もちゃんと分かってないんじゃないかという焦り・・・。鬱々として部屋に閉じこもってしまうこともある。


それでも、僕は自分の夢を裏切りたくない。
好きなことで、価値あることを仕事としたいという哲学も、持ち続けたい。


NICを卒業して三年、海洋生物学者という夢は、獣医師へとかわり、そしてまた野生動物生態学者へとかわったけれど・・・

野生動物が好き。彼らの研究をしたい。
そして彼らとの共存のために貢献したい。

その僕の心は、今も変わってはいない。僕はその素直な気持ちに、まっすぐに生きたいし、そのための学びをすることを、もっと楽しみたい。だからこそ、厳しい状況を知った上で、それに立ち向かっていきたい。

・・・そう思って、今日も、ぼちぼちと頑張っている。


最後に、僕を支え続けてくれる両親、先生方、そして仲間たちに、心から感謝したい。

志を共にした18期生のみんなへ。
Yearbookにもある“原石”としてNICを旅立った僕は、まだまだ未熟で、強い輝きを放つには時間がかかりそうだ。だけど、これからも夢に向かって闘っていく。
みんなも、それぞれの未来に向かって歩み続けているのかな。
そしてNIC在学中、僕と一緒に人間と動物の共存を考え、たくさんのインスピレーションをくれた獣医の卵へ。Sydneyで頑張ってるあなたを、世界の反対側から応援している。立派な獣医になれよ!


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Yushi Oguchi
Undergrad Researcher, Physiology Lab
Department of Forest and Wildlife Ecology, UW-Madison
Student Member, the Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine




(写真上から)
− 大学にて
− 野生のフクロウの生体捕獲や扱いを学ぶワークショップにて
− 研究室では、鳥の生理機構と環境のつながりを探求し・・・
− よくわからん免疫生態学の論文と向き合う・・・(泣)
大学にて
野生のフクロウの生体捕獲や扱いを学ぶワークショップにて
研究室では、鳥の生理機構と環境のつながりを探求し・・・
よくわからん免疫生態学の論文と向き合う・・・(泣)


Posted by ktukjp at 11:23